真善美日本人: 現代語訳版・解説つき

日本人とは何か。
そして、日本人は世界に対して何をなし得るのか。
明治を代表する哲学者、言論人である三宅雪嶺が、日本と日本人の存在意義を「真、善、美」の三方面から論じた文明論的名著。
明治日本は、西洋文明の圧倒的な力を前に、制度、学問、技術、風俗の急速な移入を進めていた。しかし、西洋の表面を模倣し、日本固有の文化や能力を失うことが、果たして真の近代化なのだろうか。
三宅雪嶺は、西洋文明そのものを拒絶しない。外国から学ぶことと、外国の模倣者になることとを明確に区別する。
日本人は、西洋の学問や文化を主体的に摂取しながら、日本の歴史と風土の中で形成された固有の能力を発達させなければならない。そして、その成果を日本国内に閉じ込めるのではなく、人類全体の文明へ提供しなければならない。
本書において雪嶺が掲げる「真、善、美」とは、単なる道徳的標語ではない。
「真」とは、学術と知識によって世界の道理を明らかにすること。
「善」とは、正義を現実に実現し得る国家的、経済的実力を築くこと。
「美」とは、日本人固有の感覚と精神を、芸術や文化として世界へ表現することである。
民族の特殊性と人類の普遍性は対立しない。各民族がそれぞれの特色を発揮することによってこそ、人類全体の文明は豊かになる。これが、雪嶺の唱えた国粋保存主義の核心であった。
付録として収録した『偽醜悪日本人』では、理想を語るだけでなく、その実現を妨げる明治日本の現実を痛烈に批判する。
学問を官位や出世に従属させる「偽」。
官僚と政商の結託によって国家の力を腐食させる「悪」。
内面的な精神を欠きながら、技巧と模倣だけを誇る「醜」。
『真善美日本人』が日本人の可能性と世界的任務を示す理想論であるならば、『偽醜悪日本人』は、その可能性を損なう社会の病理を描いた批判論である。
本版では、文語体、漢文訓読調、旧字体を、現代の読者が通読しやすい日本語へ改めた。原文の論旨、構成、語調を可能な限り保ち、巻頭には三宅雪嶺の生涯、思想、国粋保存主義、本書の構造を詳しく説明する解説を収録した。
近代化とは何か。
伝統を守るとは何か。
外国から学びながら、自らの主体を失わないためにはどうすべきか。
明治日本が直面した問いは、いまなお終わっていない。
本書の構成
『真善美日本人』解説
一 三宅雪嶺の生涯
二 三宅雪嶺の人物像と思想
三 『真善美日本人』について
真善美日本人
日本人の本質
日本人の能力
日本人の任務(一)
日本人の任務(二)
日本人の任務(三)
偽醜悪日本人
『偽醜悪日本人』凡例
偽醜悪日本人
偽
悪
醜
主要参考文献
(amazonから御購入頂けます。)


