将来の日本: 現代語訳版・解説つき

「これからの日本」を初めて大きく構想した青年蘇峰の出世作。
武力の時代から、生産と平民の時代へ。
明治十九年(一八八六年)、二十三歳の徳富蘇峰は、日本がこれからどのような国へ進むのかを正面から論じた『将来之日本』を世に問った。
明治維新によって旧来の身分秩序が崩れ、日本は急速な近代化のただ中にあった。蘇峰はその変化を、政治制度の改革だけに求めず、社会そのものを動かす力の移動として捉えた。
武力を中心とする「腕力世界」から、生産と商業を中心とする社会へ。武人が支配する社会から、広い国民層が活動する「平民社会」へ。そして日本は、その地理と国民の活動力を生かした「天然の商業国」として発展してゆく――。
後年、国権主義的な言論人として知られる徳富蘇峰。その思想的出発点にあったのは、生産、自由、平民主義、そして平和な国際社会への強い期待であった。
本書は刊行後たちまち版を重ね、熊本で私塾を営んでいた青年蘇峰を中央論壇へ押し上げた。翌年には民友社を設立し、『国民之友』を創刊。やがて日本を代表する言論人となる徳富蘇峰の原点となった一冊である。
その後、日本は日清・日露戦争を経験し、帝国主義の時代へ進んでゆく。蘇峰自身もまた、平民主義から国権主義へと思想を大きく転回した。
若き日の蘇峰が描いた未来は、何を言い当て、何を見誤ったのか。
帝国日本が形を整える以前、明治の青年が構想した「もう一つの日本の未来」を、読みやすい現代語訳と詳細な解説で読む。
【構成】
概説
徳富蘇峰の生涯
熊本から同志社へ――青年蘇峰の形成
大江義塾――地方から中央論壇へ
民友社と『国民之友』――言論人蘇峰の誕生
「変節」――平民主義から国権主義へ
「無冠の帝王」から歴史家へ――明治・大正・昭和を生きる
徳富蘇峰の思想
平民主義――新しい社会の担い手
「腕力世界」から「生産世界」へ――青年蘇峰の歴史観
個人と国家――自由が日本を強くする
言論によって国民をつくる
平和から「力」へ――世界認識の転回
一貫した問い、変化した答え
『将来の日本』について
二十三歳の青年が構想した「将来」
田口卯吉と経済雑誌社――一冊の本が世に出るまで
『国民之友』へ――一冊の思想から言論運動へ
著者自身が修正した未来――『将来之日本』とその後の蘇峰
近代日本における『将来之日本』の意義
将来の日本
献辞
『将来の日本』三版序
『将来の日本』序
『将来の日本』再版の序
緒言
第一回 洪水の後には洪水あり(緒論)
第二回 一国の生活(総論)
第三回 腕力世界一
第四回 腕力世界二
第五回 平和世界一
第六回 平和世界二
第七回 平和世界三
第八回 平民主義の運動一
第九回 平民主義の運動二
第十回 平民主義の運動三
第十一回 天然の商業国
第十二回 過去の日本一
第十三回 過去の日本二
第十四回 現今の日本一
第十五回 現今の日本二
第十六回 将来の日本
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