国体新論: 現代語訳版・解説つき

明治初期、「国体」とは、人民を国家の中心に置く言葉でもあった。
本書は、明治の啓蒙思想家・加藤弘之による政治思想書『国体新論』を、現代の読者に向けて読みやすく整えた現代語訳版である。
『国体新論』は、明治七年に刊行された加藤弘之の代表的著作の一つである。題名に「国体」とあるため、後年の国家主義的な国体論を想像するかもしれない。しかし本書で加藤が論じたのは、君主を絶対化し、人民をその下に従属させるための国体論ではない。
むしろ加藤は、国家を君主の私有物と見なし、人民を君主の臣僕とする旧来の国家観を批判した。国家の目的は、君主のためではなく、人民の安寧幸福のためにある。君主・政府は人民を保護し、その自由と権利を守るために存在する。これが本書の中心にある主張である。
本書では、国家と人民の関係、君主・政府の権利義務、人民の自由、信教・言論・出版の自由、立憲君主政体と共和政体の違い、国体と政体の区別などが論じられる。明治初期の日本が、西洋政治思想を受け入れながら、天皇を戴く国家と人民の権利をどのように結び合わせようとしたのかを知るうえで、きわめて重要な一冊である。
本版では、文語体・漢文訓読調・旧字旧仮名を現代語に改めつつ、「国体」「政体」「君主」「政府」「人民」「権利」「義務」「自由」などの重要語はできる限り保持した。また、本文前には、加藤弘之の生涯、思想と人物像、『国体新論』の読みどころを解説として収録している。
明治国家の出発点において、「国家とは誰のためにあるのか」を問うた古典を、いま改めて読む。
(amazonから御購入頂けます。)


