大学或問: 現代語訳版・解説つき

熊沢蕃山 (著), 蜜蜂書房編集部 (編集) 

三百年前、日本にはこれほど具体的な国家改革論があった。

仁政を、制度にする。
米価、借金、治水、山林、国防、教育――熊沢蕃山が描いた、驚くほど具体的な国家再建論。

江戸前期を代表する儒者・熊沢蕃山。その晩年の政治思想を集約した重要著作が『大学或問』である。

「人民の父母」としての君主はいかにあるべきか。国を富ませながら、民の困窮を救うにはどうすればよいか。豊年であるのに米価が下がり、人々がかえって貧しくなるのはなぜか。洪水と旱魃を防ぎ、荒れた山林を回復させ、国防に備え、浪人を救済し、次代を担う人材を育てるには何が必要なのか。

蕃山の議論は、抽象的な道徳論にとどまらない。米一石の価格から借銀の処理、穀物の備蓄、河川と堤防の普請、山林の再生、武士の生活、学校制度に至るまで、仁政を現実の政治として実行する方法を具体的に考え抜いてゆく。

その根底にあるのは、政治を一部分だけで捉えない視線である。財政の窮乏は武士の生活へ及び、その負担は民へ向かう。山林が荒れれば川が浅くなり、洪水は田畑を損なう。人材を育てなければ、優れた制度も長くは続かない。蕃山にとって、これらはすべて「天下をいかに治めるか」という一つの問題であった。

岡山藩主・池田光政に仕え、実際の藩政、救民、治山治水に携わった蕃山だからこそ書くことのできた経世論であり、書斎の理想論とは異なる生々しい現実感が全篇を貫いている。

さらに、熊沢蕃山の生涯、陽明学と経世思想、仁政・「時・処・位」・教育・自然観などを扱う思想解説、『大学或問』の成立と歴史的意義・受容を論じた作品解説を収録した。

儒学、日本思想、江戸時代の政治史に関心を持つ読者はもちろん、政治、経済、教育、環境を一つの社会の問題として考えてみたい人にも手に取ってほしい一冊である。

【構成】

・熊沢蕃山の生涯
・熊沢蕃山の思想
・『大学或問』について
・凡例
・『大学或問』現代語訳 全二十二条
・主要参考文献

(amazonでご購入いただけます。)

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