省諐録: 現代語訳版・解説つき

幕末の奇才・佐久間象山が、獄中で己を省みながら、国家と世界の行く末を考え抜いた思想録。
嘉永七年(一八五四)、吉田松陰の海外密航事件に連座した佐久間象山は、江戸伝馬町の獄へ投じられた。長年にわたり海防を説き、西洋兵学と科学技術を研究してきた象山は、七か月に及ぶ拘禁の中で、自らの行動を振り返るとともに、日本が直面する危機と、これからの国家のあり方を思索した。出獄後、その獄中の思考を書き留めたものが『省諐録』である。
本書では、自己修養、学問、海防、兵学、外交、財政、人材登用などをめぐる五十七条の思索が展開される。そこには、己の振る舞いを厳しく省みる姿勢と、自らが見抜いた国家的危機への強烈な確信が同居している。最終第五十七条では、一人の人間も「五世界」の運命に関わり得るという壮大な自己認識へ到達する。
附録には、象山の思想と感情をさらに直接に伝える賦・雑文・漢詩・和歌を収録した。
漢詩十二首と「国風」百十六首については原文も併載し、それぞれの直後に現代語訳を収めている。獄中の孤独、君国への忠誠、外国への危機感、志が理解されない苦悩が、漢文による思想論とは異なる声で現れる。
巻頭には、佐久間象山を初めて読む方にも時代と思想の流れをつかめるよう、三部構成の詳細な解説を収録した。象山の生涯、朱子学と西洋学を結びつけた思想、『省諐録』の成立と内容を順にたどる。
【構成】
解説
第一部 佐久間象山の生涯
松代の俊才――朱子学から出発した学問
アヘン戦争と海防――儒者が西洋兵学へ向かうまで
黒船来航と吉田松陰――獄中へ
赦免から京都へ――開国論と最期
第二部 佐久間象山の思想
経世の朱子学――居敬と窮理を現実へ働かせる
「東洋道徳・西洋芸術」――西洋学を聖学の力とする
時勢を知る学問――海防・兵学・人材論
第三部 『省諐録』について
獄中の省察から生まれた書
自身の修養から天下の海防へ――五十七条の思索
「省諐」と自負――獄中で確かめ直された自己
詩と和歌に託された獄中の声
凡例
省諐録
第一条~第五十七条
附録上
省諐賦
讀孟子
又
跋孟子舜發畎畝章
夢有得魯公爭坐帖者與予共之適甚因爲跋其尾覺而記之
兵要
孫子説二則
詩
獄中写懐二首
君恩
敝笱五章
泄泄八章
礮卦
故園
秋思
秋風
黠虜
漫述二首
附録下
国風
獄中聞子規歌二首
無題歌二首
憂思世事歌五首
七夕歌二首
八月十五夜歌一首
九月十三夜歌二首
送謫三宅島人歌二首
感情歌百首
主要参考文献
(amazonからご購入いただけます。)


