平家物語: 現代語訳版・解説つき

蜜蜂書房編集部 (著)
栄華の頂から、壇ノ浦の底へ。
祇園精舎の鐘の声から始まる、日本人が八百年にわたって語り継いできた美しき「滅び」の物語。
『平家物語』は、平清盛を頂点として権勢を極めた平家一門の栄華と、その急速な没落、源平の戦い、そして壇ノ浦における滅亡までを描いた、日本を代表する軍記物語である。
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」という名高い冒頭に示されるように、本作を貫くのは、栄える者もいつかは衰え、勝者も敗者も無常から逃れることはできないという眼差しである。
しかし、『平家物語』の魅力は「盛者必衰」という一言だけでは尽くせない。平清盛、重盛、木曾義仲、源義経、平敦盛、那須与一、平知盛、建礼門院――歴史を動かした人々が、栄華の中で生き、戦い、別れ、そして滅びてゆく。その姿を、激しい合戦と深い哀感を交えながら描き出している。
本書では覚一本系の本文を基礎とし、全十二巻と灌頂巻、全192章を、物語として自然に読み進められる現代語に改めた。原文の意味、人物関係、語りの順序を尊重しながら、軍記物語としての勢いと『平家物語』特有の格調を残している。
【構成】
巻第一
祇園精舎、殿上闇討、鱸、禿髪、吾身栄花、祇王など。平家一門の栄華と清盛の権勢を描く。
巻第二
座主流、鹿谷、教訓状、烽火之沙汰、西光被斬など。鹿ケ谷事件を中心に、平家と反平家勢力の対立が深まる。
巻第三
赦文、少将都帰、有王、僧都死去、城南離宮など。流人たちの運命と清盛を取り巻く政治情勢を描く。
巻第四
厳島御幸、還御、源氏揃、競、山門牒状、南都牒状、宮御最期など。以仁王・源頼政の挙兵から宇治の戦いへ。
巻第五
都遷、月見、物怪之沙汰、早馬、朝敵揃、咸陽宮、文覚被流、勧進帳、奈良炎上など。福原遷都、源氏蜂起、南都炎上へと時代が大きく動く。
巻第六
新院崩御、紅葉、葵前、小督、飛脚到来、入道死去など。平清盛の晩年と死、その後の平家を描く。
巻第七
清水冠者、北国下向、竹生島詣、火打合戦、倶利迦羅落、篠原合戦、平家山門連署など。木曾義仲の進撃と平家都落ちへ。
巻第八
山門御幸、名虎、緒環、太宰府落、征夷将軍院宣など。都を追われた平家と、義仲・頼朝ら源氏諸勢力の動向を描く。
巻第九
生ずきの沙汰、一二之懸、二度之懸、坂落、越中前司最期、忠度最期、敦盛最期など。一ノ谷の戦いを中心とする源平合戦屈指の巻。
巻第十
首渡、内裏女房、維盛出家、維盛入水、横笛、高野巻など。敗者となった平家の人々の悲哀と別離を描く。
巻第十一
逆櫓、勝浦、嗣信最期、那須与一、弓流、壇浦合戦、先帝身投、能登殿最期など。屋島から壇ノ浦へ、平家滅亡の瞬間までを描く。
巻第十二
大地震、紺掻之沙汰、平大納言被流、土佐房被斬、判官都落、六代など。戦後の処置と源義経の運命、平家の残照を描く。
灌頂巻
大原入、御往生など。大原寂光院に生きる建礼門院徳子を通して、平家滅亡後の世界を描く。
巻末収録
読後解説「『平家物語』――滅びのあとに残るもの」
主要参考文献
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