新論: 現代語訳版・解説つき

国体・国防・民心を結び、幕末を動かした水戸学の国家論。
新たな現代語訳と詳細解説を収録。
文政八年(一八二五年)、水戸藩の儒者・会沢正志斎は、日本近海へ迫る西洋諸国の脅威を前に、国家の進むべき道を『新論』としてまとめた。
正志斎が説いたのは、異国船をただ打ち払うだけの攘夷ではない。天皇を中心とする国体、君臣と父子を貫く忠孝、祭祀と教育による民心の統合、農政と財政の再建、海防と軍備の充実を一つに結び、外国の支配を受けない国家を築こうとする壮大な構想である。
本書は幕府を中心とする国家秩序を立て直すために書かれたが、写本によって全国へ広まり、幕末の志士たちに大きな影響を与えた。正志斎本人の意図を離れ、尊王攘夷から倒幕、さらに明治国家へと受け継がれていったところに、『新論』の歴史的な重要性がある。
本書では、難解な漢文訓読調を、原文の論旨と格調を保ちながら読みやすい現代語へ改めた。本文に付された会沢正志斎自身の原注も収録している。
巻頭には、正志斎の生涯、その思想体系、『新論』の成立と社会的展開を論じた三部の解説を収めた。尊王攘夷の原典を、成立した時代と後世への影響の双方から読み解くことができる一冊である。
【構成】
概説
会沢正志斎の生涯
・水戸の下士から彰考館へ――藤田幽谷との出会い
・北方の危機から大津浜へ――西洋との遭遇
・徳川斉昭と天保の改革――弘道館の総教
・自らが生んだ時代との亀裂――尊攘激派と晩年
会沢正志斎の思想
・国家を救うための学問――経世実用と「国体」
・攘夷という現実主義――西洋受容と尊王敬幕
『新論』について
・大津浜の衝撃から写本の流布へ
・尊王論と国防論の結合――『新論』の思想史的意義
・著者を離れて動き始めた書物――志士、維新、近代国家
凡例
新論
・序
・国体 上
・国体 中
・国体 下
・形勢
・虜情
・守禦
・長計
・識語
・跋
主要参考文献
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