日本精神研究: 現代語訳版・解説つき

日本精神は、歴史を生きた人格に現れる。・原文の内容と順序を保った、読みやすい現代語訳
・大川周明の生涯、思想、本書の成立を扱う詳細解説を収録
「日本精神」とは何か。
大川周明は、その答えを抽象的な定義の中に求めず、日本の歴史を生きた人物の人格と行動から描き出した。
思想と信仰を究めた横井小楠。独創的な国家構想を残した佐藤信淵。平民の生活に倫理を根づかせた石田梅岩。君国のために一身を捧げた平野国臣。剣の道を通して世界の理へ迫った宮本武蔵。旧い秩序を打ち破り、近代日本への道を開いた織田信長。為政者の誠と責任を示した上杉鷹山。信仰と武勇を一身に備えた上杉謙信。そして、武家政権の基礎を築いた源頼朝。
時代も立場も異なる九人を結ぶものは、自らの使命を引き受け、一つの道を生涯にわたって貫いた人格である。
大川は、学問を知識の蓄積として扱わず、人間の生き方を変え、やがて歴史を動かす力として捉えた。国家を支える制度も、それを動かす人間の人格が衰えれば形骸化する。公共のために働く精神はいかに養われるのか。危機に直面した人間は、何を信じ、いかなる覚悟をもって立つべきか。本書の人物論には、その問いが一貫して流れている。
巻頭には「大川周明の生涯」「大川周明の思想」「『日本精神研究』について」の三部からなる解説を収録した。宗教研究者としての出発、アジア主義と国家改造運動への展開、本書の成立と歴史的背景をたどり、大川思想の意義と危うさをあわせて検討する。
日本とは何か。
国家を担う人格とは何か。
歴史を動かす精神は、いかにして生まれるのか。
九つの生涯を通して、日本人の精神を問い直す一冊。
【構成】
概説
大川周明の生涯
・庄内から帝国大学へ――世界宗教への目覚め
・インド独立運動と満鉄――学者から行動者へ
・猶存社から行地社へ――国家改造運動の中心
・昭和維新運動と獄中生活――行動の帰結
・東京裁判からクルアーン翻訳へ――宗教への回帰
大川周明の思想
・宗教的人格主義――精神は人格において証明される
・日本精神――歴史の中で実証される国民的性格
・アジア主義――民族解放の理想と日本中心性
・国家改造と社会教育――精神を制度へ移す思想
・普遍的信仰と日本的使命――大川思想の緊張
『日本精神研究』について
・九冊の人物論から一冊へ――本書成立の歩み
・人物を通して精神を語る――九篇の構成
・大震災後の日本――危機の中から生まれた人物論
・歴史書と修養書のあいだ――大川の叙述方法
・「日本精神」の時代へ――昭和期の社会的展開
・戦後の忘却と再発見――変化する本書の位置
・日本精神をいかに語るか――本書が残した問い
現代語訳本文
第一篇 横井小楠の思想と信仰
第二篇 佐藤信淵の理想国家
第三篇 平民の教師石田梅岩
第四篇 純情の人平野二郎国臣
第五篇 剣の人宮本武蔵
第六篇 近代日本の創設者織田信長
第七篇 上杉鷹山の政道
第八篇 戦える僧上杉謙信
第九篇 頼朝の事業と人格
主要参考文献
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