集団心理学と自我分析: 新訳版・解説つき

ジークムント・フロイト (著), 蜜蜂書房編集部 (編集) 

なぜ人は、集団の中で自分を失うのか。

人間は一人でいるときと、集団の一員となったときとで、なぜこれほど異なる思考と行動を示すのか。指導者への服従、成員同士の結束、感情の感染、批判力の低下は、どのような心の働きから生まれるのか。

『集団心理学と自我分析』は、フロイトがル・ボンの群衆心理学を出発点として、集団を結びつける力を「リビドー」「同一化」「自我理想」によって解き明かした社会心理学の古典である。

フロイトは、集団を単なる人間の集合として捉えなかった。人々が同じ指導者や理念を自我理想の位置に置き、互いに同一化することで、一つの集団が形成されると考えたのである。教会と軍隊、恋愛と催眠、群居本能、原始群などを論じながら、個人の心と集団の熱狂を同じ心理的構造から説明していく。

本書は、一九二一年に刊行されたドイツ語原文から訳した新訳版である。全十二章とフロイト自身による原注を収録し、ル・ボンをはじめとする他の著者からの引用も、フロイト自身の論述と区別して読みやすく整えた。

巻頭には、医学者から精神分析の創始者へと至ったフロイトの生涯、無意識の理論から文明・宗教論へ広がった思想、本書の成立と意義を解説する三篇を収めている。

政治運動や宗教団体、軍隊や企業、学校、さらにインターネット上の共同体に至るまで、人間は共通の対象を愛し、同じ理想を分かち合うことで集団を形成する。その結合は社会を支える力となり、ときには個人の判断を圧倒する力ともなる。

集団の熱狂と服従の奥にある、人間の心の構造を問う一冊。

【本書の構成】

■概説

フロイトの生涯

フロイトの思想――精神分析から文化論へ

『集団心理学と自我分析』について

■『集団心理学と自我分析』新訳

第一章 序論

第二章 ル・ボンによる集団心性の描写

第三章 集合的な心的生活に対するその他の評価

第四章 暗示とリビドー

第五章 二つの人工的集団――教会と軍隊

第六章 さらに残された課題と研究の方向

第七章 同一化

第八章 恋愛と催眠

第九章 群居本能

第十章 集団と原始群

第十一章 自我における一つの段階

第十二章 補遺

主要参考文献

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