焚書: 現代語訳版・解説つき

陽明学左派、その極北へ。
「童心」を掲げ、聖人の権威を疑い、己の心に従った李卓吾の代表作。
明代末、中国思想の正統を揺さぶった思想家・李卓吾。
王陽明以後の心学を受け継ぎながら、李卓吾はその思想をさらに押し進めた。人間が本来持つ偽りのない心を「童心」と呼び、衣食や欲望を日常の道から切り離さず、古人の権威や世間の是非に自らの判断を委ねることを厳しく批判した。
その言葉は、儒学、陽明学、禅、老荘を自在に往来しながら、人間が自分自身の心に忠実に生きるとは何かを問い続ける。
『焚書』は、そうした李卓吾の思想が最も生々しい形で残された代表作である。
友人や学者たちとの往復書簡、学問や人間についての論説、歴史人物への大胆な批評、文学論、序文、そして詩。六巻にわたる多様な文章には、一つの体系へ整理される以前の、李卓吾その人の思考と生活が刻み込まれている。
その思想と生き方は当時の知識人社会に大きな衝撃を与え、李卓吾自身も「異端」として激しい攻撃を受ける。晩年には逮捕され、獄中で自ら命を絶った。しかし「焼くべき書」という意味を込めて名づけられた『焚書』は、四百年以上を経た今日まで読み継がれている。
本書では『焚書』全六巻を、原文の論旨と構成を尊重しながら、訓読調を抑えた自然な現代日本語に訳出した。
さらに巻頭には、「李卓吾の生涯」「李卓吾の思想」「『焚書』について」の三篇の解説を収録。陽明学から李卓吾へ至る思想的背景と、『焚書』が生まれ、禁圧を受けながら後世へ残った歴史までをたどる。
【構成】
解説
一 李卓吾の生涯
二 李卓吾の思想
三 『焚書』について
凡例
『焚書』
巻一 書答
巻二 書答
巻三 雑述
巻四 雑述
巻五 読史
巻六 詩
主要参考文献
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