曹操はなぜ悪人になったのか

田中輝元 (著)

曹操は、いつから「悪人」とされてきたのか。

三国志を代表する英雄でありながら、「乱世の奸雄」「疑い深い権力者」「漢王朝を奪った人物」として語られてきた曹操。

しかし、曹操と同時代に近い陳寿『三国志』では、その並外れた能力が極めて高く評価されていた。曹操自身も、戦乱によって荒廃した中国を詩に残し、人材を広く登用しながら、北中国を統一する政権を築いている。

では、現在まで続く「奸雄曹操」は、いつ、どのように作られたのか。

本書は、正史と『三国志演義』を比較するだけでなく、魏と蜀漢の正統をめぐる歴史観、宋代の三国語り、元代の『三国志平話』、明代の『三国志演義』、清代の毛宗崗による評点、さらに京劇の白い顔から近代の曹操再評価までをたどる。

そこから見えてくるのは、一人の歴史的人物が、千年以上にわたる歴史・文学・民間伝承のなかで「悪役」として形作られてゆく過程である。

なぜ劉備の敗北には涙が流され、曹操の敗北には歓声が上がったのか。
なぜ『演義』は曹操を残酷に描きながら、その卓越した能力を消さなかったのか。
そして、史実との違いが広く知られるようになった現在でも、なぜ「奸雄曹操」は生き続けているのか。

曹操という人物を通して、歴史上の人物が後世にどのように記憶され、物語へ変わってゆくのかを読み解く一冊。

【構成】
はじめに
第一章 曹操という人物
第二章 歴史家が書いた曹操
第三章 誰が漢王朝を継いだのか
第四章 民衆が聞いた三国志
第五章 『三国志演義』の曹操
第六章 「奸雄」曹操の完成
第七章 曹操をもう一度読む
おわりに 曹操はなぜ悪人になったのか

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