自由民権論集: 現代語訳版・解説つき

三十四歳で逝った、自由民権の天才思想家。
自由を説き、言論を守り、権利を体系化し、憲法を書く。
明治日本に「もう一つの国家像」を描いた植木枝盛。その自由民権思想の歩みを、四つの代表作によってたどる。
明治という新しい国家が形を整えつつあった時代、植木枝盛は国家と人民の関係を根本から問い直した。
政府は何のために存在するのか。
人民の自由は、誰によって保障されるべきなのか。
民権を強くすることは、国家を弱くすることなのか。
そして政府そのものが人民の権利を侵したとき、人民には何が許されるのか。
安政四年(一八五七年)に土佐で生まれた植木は、十代で自由民権運動へ身を投じ、政府批判によって投獄されながらも、新聞、演説、著述を通じて民権思想を広めていった。やがてその思索は自由論から権利論へ、さらに憲法という国家制度の設計へと進み、三十四歳という短い生涯のうちに独自の政治思想を築き上げる。
本書は、その歩みを代表する『民権自由論』『言論自由論』『民權自由論二編甲號』『東洋大日本國々憲案』の四作品を収録した現代語訳版である。
『民権自由論』では、政治を遠い世界の出来事と考える人民に向けて、自由と民権の必要を身近な比喩と口演調の文章によって説く。
『言論自由論』では、政治的自由を支える言論の働きを正面から論じる。
『民權自由論二編甲號』では、人間の自由をより具体的な権利として整理しながら、欧米諸国の憲法や制度を参照し、近代国家における権利保障へと議論を進めてゆく。
そして『東洋大日本國々憲案』では、連邦制、地方自治、人民の政治参加、抵抗権・革命権などを含む大胆な国家構想が、二百を超える憲法条文として姿を現す。
自由を民衆へ語るところから始まり、その自由を制度として保障する国家を自ら設計するところまで――。
四作品を通して読むことで、植木枝盛という思想家の成長とともに、自由民権運動が国会開設だけを求めた運動ではなく、新しい国家と人民の関係そのものを構想しようとした思想運動であったことが見えてくる。
巻頭には、植木枝盛の生涯、思想的背景、各収録作の成立と意義を解説した概説を収録。原文の論旨、比喩、反語、口演調をできる限り保ちながら、今日の読者が通読できる現代日本語へ訳した。
【構成】
■概説
■凡例
■『民権自由論』
■『言論自由論』
■『民權自由論二編甲號』
■『東洋大日本國々憲案』
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