韓非子: 現代語訳版・解説つき

韓非 (著), 蜜蜂書房編集部 (著)

戦国から秦帝国へ――統一国家の前夜に生まれた、権力と制度の古典。
法・術・勢を説いた『韓非子』全五十五篇、全文現代語訳。

人はなぜ従うのか。
君主はいかに臣下を用い、権力はいかに保たれるのか。

戦国時代末期、秦による天下統一が目前に迫るなか、韓の公族として生まれた韓非は、君主の徳や臣下の善意に国家の命運を委ねることなく、法・術・勢によって人と組織を動かす政治思想を追究した。

商鞅の「法」、申不害の「術」、慎到に結びつく「勢」。さらに荀子以来の人為による秩序形成や、『老子』の無為・虚静をも取り込みながら、韓非は戦国の統治思想を独自の国家論へと押し進めていく。

その著作は祖国の韓では十分に用いられなかった一方、敵国秦へ伝わり、のちの始皇帝となる秦王政を強く驚嘆させた。韓非自身は秦の獄中で生涯を終えるが、その思想を収めた『韓非子』は、戦国から統一帝国へ移る中国史最大の転換期を伝える政治思想の古典として、二千年以上にわたって読み継がれている。

本書は、現行本『韓非子』全五十五篇を省略せず全文現代語訳したものである。

「孤憤」「説難」「五蠹」「顕学」といった著名な論説篇はもちろん、膨大な歴史故事を収める「説林」「内儲説」「外儲説」、『老子』を読み解く「解老」「喩老」までを一冊に収録。抜粋では見えにくい韓非の人間観、官僚論、歴史認識、権力論を、原典全体の流れのなかで読むことができる。

巻頭解説では、韓非の生涯に加え、荀子との思想的関係、商鞅・申不害・慎到から韓非へ至る思想史的背景、「法家」という分類の成立、『老子』との関係を詳しく紹介。さらに『韓非子』五十五篇の成立と伝承、秦帝国との歴史的関係、後世への影響と意義までを解説した。

中国最初の統一帝国が生まれる直前、人間と権力と制度はいかに考えられていたのか。
『韓非子』の全貌を、現代日本語で読む。

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