百一新論: 現代語訳・解説付き

西周 (著), 蜜蜂書房編集部 (編集) 

日本近代哲学の出発点を読む。
儒学から哲学へ――日本の知が組み替わる瞬間。

幕末から明治へ、日本人は西洋から流れ込んだ新しい知識を、どのように自らの言葉で理解しようとしたのか。

西周は、オランダ留学を通じて西洋の哲学・法学・社会科学を学び、帰国後、日本に近代的な学問体系を根づかせるために力を尽くした思想家である。「哲学」をはじめとする新しい学術語の形成にも深く関わり、幕末の儒学的世界と明治の近代学術とをつなぐ重要な位置を占めた。

『百一新論』は、その西周の思想が形成されてゆく現場を伝える代表的な著作である。

議論は「百教一致」という一つの問いから始まる。神道、儒学、仏教、西洋の宗教。それぞれ異なる教えを、なぜ「一致する」と言えるのか。先生と問い手との問答を通じ、西はまず「教」という言葉の意味を問い直し、そこから政治と教化、法と道徳、人間の内面と社会秩序へと思索を広げてゆく。

さらに議論は「心理」と「物理」の区別へ進み、迷信や祈禱、自然現象、人間の性質をめぐる問題を経て、最後には「ヒロソヒー」、すなわち「哲学」とは何かという問いへ到達する。

そこに見えるのは、西洋思想をそのまま輸入する姿ではない。儒学によって培われた日本の知的伝統を足場としながら、言葉の意味を一つずつ定め、異なる領域を切り分け、新しい学問の体系を日本語の中に築こうとする知的格闘である。

本書では『百一新論』全篇を、先生と問い手の関係や原文の敬意を保ちながら、読みやすい現代日本語へ改めた。

巻頭には、西周の生涯をたどる「西周の生涯」、哲学・論理・法・権利・功利・翻訳語形成までその思想を総合的に扱う「西周の思想」、そして『百一新論』の成立事情と近代日本思想史上の位置を解説する「『百一新論』について」を収録した。

日本近代哲学の出発点に立った思想家は、何を考え、何を日本語によって表そうとしたのか。

幕末の儒者から明治の哲学者へ――西周の思考を、現代語で読む。

【構成】

概説

西周の生涯
・津和野に育った儒者
・洋学への転進とオランダ留学
・幕府の終焉から明治政府へ
・啓蒙思想家から近代国家の官僚へ

西周の思想
・学問を「体系」として捉える
・経験と論理――知るための方法
・法と権利――人間相互の秩序を考える
・功利と倫理――人間の生を豊かにする思想
・新しい言葉によって新しい世界を考える

『百一新論』について
・京都の講義から明治七年の刊行へ
・問答によって思想が形を取る
・西周の著作群の中で
・近代日本の「考えるための言葉」

凡例

百一新論
・巻之上
・巻之下

主要参考文献

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