大学・中庸: 現代語訳版・解説つき

自己修養から天下国家へ。人の性から天命を知る。論語・孟子と並び東アジア千年の思想を形づくった四書の核心『大学』『中庸』を読む!
『論語』『孟子』とともに「四書」を構成し、中国から日本に至るまで長く読み継がれてきた『大学』と『中庸』。
『大学』は、明徳を明らかにすることから始まり、格物・致知・誠意・正心・修身を経て、斉家・治国・平天下へ至る道を示す。自己を修めることと国家を治めることを一つの道の上に置いた「修身斉家治国平天下」の思想は、後世の東アジア思想に大きな影響を与えた。
『中庸』は、「天の命ずるをこれ性という」という有名な一節から始まり、人間の性と道を天の秩序へ結びつける。「中」と「和」、慎独、そして「誠」の思想を通して、人間の日常的な修養から天地万物の働きにまで議論を広げてゆく。
本書では、南宋の朱熹が編んだ『大学章句』『中庸章句』を基礎に、両篇を全文現代語訳。『大学』は朱熹による経一章・伝十章の構成を採用し、伝来の過程で失われたと朱熹が考え、自ら補った「格物致知」の補伝も収録する。『中庸』は朱熹による全三十三章の構成を収めた。
さらに解説では、二篇がもとは『礼記』の一篇であったところから「四書」の中心へと発展した歴史をたどり、朱熹が『大学』をどのように再編したのかを詳説する。
とりわけ重点を置いたのが、朱子学と陽明学による解釈の違いである。「親民」か「新民」か。格物致知とは何を意味するのか。『中庸』の「未発」と「已発」をどう捉えるのか。同じ『大学』『中庸』から、なぜ朱熹と王陽明という異なる思想が生まれたのかを具体的に読み解く。
また、日本における四書の受容にも一部を割き、中江藤樹や熊沢蕃山による陽明学的展開、伊藤仁斎・荻生徂徠による朱子学批判、さらに江戸の教育から幕末・明治へと受け継がれた四書の思想的影響を紹介する。
自己修養から政治へ進む『大学』。
人間の性から天地の道へ進む『中庸』。
短い二篇が、なぜ千年にわたる巨大な思想史を生み出したのか。その本文と解釈の歴史を一冊で読む。
【構成】
解説
第一部 『礼記』の二篇から「四書」へ
第二部 『大学』――自己修養と天下国家
第三部 『中庸』――人間の道から天地へ
第四部 朱子学と陽明学
第五部 日本と『大学』『中庸』
第六部 『大学』『中庸』が東アジア思想に残したもの
凡例
『大学』全文
『中庸』全三十三章
主要参考文献
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