靖献遺言: 現代語訳版・解説つき

国が滅びるとき、人はどう生きるのか。
幕末の志士たちに読み継がれた、浅見絅斎の代表作。
『靖献遺言』は、江戸前期の儒者・浅見絅斎が、中国史から八人の人物を選び、その生涯と言葉を通して、正統と節義、人はいかに身を処すべきかを問いかけた歴史思想の古典です。
屈原、諸葛亮、陶潜、顔真卿、文天祥、謝枋得、劉因、方孝孺――。彼らは生きた時代も境遇も異なります。しかし、そこには王朝の衰亡や政変、主君との関係、仕官と隠退、生と死をめぐる切実な決断が刻まれています。
『靖献遺言』の特色は、抽象的な理論を並べるところよりも、歴史上の人物そのものに思想を語らせる編集にあります。人物の史伝に本人の文章や詩を重ね、さらに朱熹をはじめとする後世の評を配することで、読者は一人ひとりの決断を具体的な歴史の中から読むことになります。
江戸前期に成立した本書は、その後、崎門の学統を通じて読み継がれ、幕末になると新たな切実さを帯びました。吉田松陰らの時代には、政治秩序が揺らぐなかで自らの立場を定めるための古典として受容され、近代日本の尊王思想を考えるうえでも重要な位置を占めています。
本書では『靖献遺言』全八巻を、原文の論旨や人物の言葉をできる限り保ちながら、今日の読者にも通読しやすい現代語に改めました。漢詩や韻文には原文の調子を残した訳を添え、巻頭には浅見絅斎の生涯、朱子学・崎門学を背景とする思想、そして『靖献遺言』の成立と後世への影響を扱う解説を収録しています。
構成
解説
第一部 浅見絅斎の生涯
第二部 浅見絅斎の思想
第三部 『靖献遺言』
凡例
巻之一 屈原
巻之二 諸葛亮
巻之三 陶潜
巻之四 顔真卿
巻之五 文天祥
巻之六 謝枋得
巻之七 劉因
巻之八 方孝孺
主要参考文献
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