神皇正統記: 現代語訳版・解説つき

神話と歴史を切り離して、日本は読めない。
天照大神から歴代天皇へ――日本を貫く「正統」の原理を一本につなぐ。


南北朝の動乱のただ中、北畠親房が著した日本思想史上の古典『神皇正統記』。

本書は天地開闢と神代から説き起こし、天照大神、天孫降臨、神武天皇を経て、歴代天皇の事績をたどり、親房自身が仕えた後醍醐天皇、そして後村上天皇の時代へと至る。

そこに描かれるのは、単なる皇位継承の歴史ではない。

なぜ日本の皇統は続いてきたのか。
天照大神から伝えられた皇統とは、政治に何を要求するのか。
正しい皇統を継ぐ君主であれば、その政治も自動的に正しいのか。

親房は神代の物語、三種の神器、歴代天皇の治世、中国・天竺の王朝興亡、儒教・仏教の思想、そして鎌倉武家政治までを一つの歴史の中に置き、「正統」と「政道」の意味を問い続ける。

その視線は決して単純ではない。
朝廷の正統を信じながら、天皇の失政を批判し、敵対する武家であっても善政は認める。とりわけ北条泰時の政治を高く評価し、自ら仕えた後醍醐天皇の政治にも厳しい批判を加える。

皇統の正しさと、政治の正しさ。
神話と、現実の政治。
天照大神と、歴史上の天皇。

それらを別々のものとして扱わず、一つの原理によってつなごうとしたところに、『神皇正統記』の核心がある。


本版では『神皇正統記』全六巻を、原文の論理、評価、断定と疑念、異説や自注をできる限り保ちながら、現代の読者が通読できる日本語へ改めた。
巻頭には、北畠親房の生涯、その思想、そして『神皇正統記』の成立・思想・後世への影響を読み解く詳細な解説を収録している。

これなくして、日本の「正統」は語れない。
神代と歴史を一本につなぐ、中世日本思想の巨峰を現代語で読む。


【本書の構成】

解説

第一部 北畠親房の生涯
第二部 北畠親房の思想
第三部 『神皇正統記』について

凡例

神皇正統記
巻一
巻二
巻三
巻四
巻五
巻六

主要参考文献

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