太極図説・正蒙: 現代語訳版・解説つき

天地は、いかに人間の道となるのか。
周敦頤『太極図説』『通書』、張載『西銘』『正蒙』――宋学形成期の核心四篇を一冊に。
十一世紀の北宋において、儒学は天地の成り立ち、人間の本性、善く生きることの根拠を、一つの思想のうちで語ろうとし始めた。
周敦頤は『太極図説』において、太極の動静から陰陽が分かれ、五行を経て万物と人間が生まれる宇宙の生成を描き、その秩序を人間の倫理へと結びつけた。『通書』では、その思索を誠、聖人、学問、政治、礼楽へ広げている。
張載は『正蒙』において、太虚と「気」の聚散から世界を捉え、生と死、天地と人間、性と命を一つの秩序の中で考えた。その世界観から生まれた『西銘』の「民は吾が同胞、物は吾が与なり」という言葉は、人間と万物との関係を語る宋学の代表的な文章として後世に読み継がれている。
周敦頤と張載の思想は、程顥・程頤を経て朱熹によって継承、再編され、後の朱子学を形成する重要な源流となった。一方で、両者の原典には、完成後の朱子学だけでは捉えきれない独自の宇宙論と人間観も残されている。
本書では『太極図説』『通書』『西銘』『正蒙』の四篇を、原文の論理と思想語を尊重しながら自然な現代日本語へ訳した。巻頭には、周敦頤・張載の生涯、北宋における思想的背景、二人の思想と朱子学への継承、各作品の成立と後世の受容を扱う解説を収録している。
【構成】
概説
第一部 周敦頤・張載の生涯
・地方官として生きた周敦頤
・辺境への志から学問へ――張載
第二部 周敦頤と張載の思想
・仏教と道教の時代に、儒学は何を語ろうとしたのか
・周敦頤――宇宙の生成から人間の道へ
・張載――「気」によって世界を分断しない
・「気」の思想と人間の修養
・二程から朱熹へ――継承と再編
第三部 収録四作品について
・『太極図説』――短篇から宋学の宇宙論へ
・『通書』――周敦頤のもう一つの顔
・『西銘』――書斎の銘から儒学の基本文献へ
・『正蒙』――張載の思索を集めた十七篇
・四作品を一冊で読む
凡例
現代語訳
・周敦頤『太極図説』
・周敦頤『通書』全四十章
・張載『西銘』
・張載『正蒙』全十七篇
主要参考文献
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