淡窓詩話: 現代語訳版・解説つき

広瀬淡窓 (著), 蜜蜂書房編集部 (翻訳) 

古人を学べ。だが、古人をまねるな。
幕末の大儒が教える、漢詩の読み方・作り方。

陶淵明、李白、杜甫、王維――名詩は、なぜ名詩なのか。よい詩と凡庸な詩は、どこで分かれるのか。

広瀬淡窓は、江戸後期を代表する儒者・教育者・漢詩人であり、日本最大級の私塾として知られる咸宜園を開いた人物である。『淡窓詩話』は、淡窓が門人たちとの問答のなかで語った詩論をもとに編まれ、明治十六年(一八八三年)に刊行された。

本書で淡窓は、中国古典詩の名作を実際に取り上げながら、詩の読み方と作り方を具体的に説いている。

陶淵明の自然さはどこから生まれるのか。王維と杜甫では景物の描き方がどう異なるのか。佳句は一篇のどこに置くべきか。推敲によって何を磨くのか。唐詩・宋詩・明詩・清詩をどう学び分けるのか。そして、古人を学びながら、なぜ古人そのものを模倣してはならないのか。

淡窓が重んじたのは、流行する詩風に従うことよりも、多くの古詩を読み、自分自身で作品の巧拙と雅俗を判断できる「眼」を養うことであった。

「詩に唐・宋・明・清なし。而して巧拙・雅俗あり」

時代や流派の名に頼らず、一篇一篇の詩そのものを見る。その姿勢は、漢詩を作る人だけでなく、古典を読み、文章を書き、自分自身の言葉を磨こうとする現代の読者にも多くの示唆を与えてくれる。

本版では原文の内容と論理をできる限り保持しながら、本文を自然な現代日本語へ改めた。引用される漢詩については原詩を残し、その直後に原語との対応を意識した現代語訳を付している。

巻頭には、広瀬淡窓の生涯と咸宜園、敬天思想を中心とする思想的背景、『淡窓詩話』の成立と意義を解説した。

構成

解説
・広瀬淡窓の生涯
・広瀬淡窓の思想
・『淡窓詩話』について

凡例

淡窓詩話
・序
・『淡窓詩話』小引
・上巻
・下巻
・跋

主要参考文献

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