雨月物語: 現代語訳版・解説つき

上田秋成 (著), 蜜蜂書房編集部 (翻訳)

歴史と怪異が交わる、江戸幻想文学の傑作。

崇徳院の怨霊、死を越える友情、戦乱の果てに待つ亡き妻、鯉となって水中を遊ぶ僧、山中に響く異界の声、嫉妬から生まれる凄惨な怨念、美しい女に姿を変えた蛇――。

上田秋成『雨月物語』は、歴史、信仰、愛欲、友情、欲望、そして人間の執着を、九つの怪異譚によって描き出した江戸文学の傑作です。

本書では『雨月物語』全九篇を、原文の意味、情景、人物関係、怪異の余韻をできる限り保ちながら、現代の読者が物語として自然に読み進められる日本語へ現代語訳しました。平板な意訳や過度な説明を避け、秋成の文章が持つ古典の格調と、不意に異界が現れる独特の空気を残すことを重視しています。

巻末には読後解説「『雨月物語』――怪異の底に残るもの」を収録。上田秋成と作品成立、九篇を貫く主題、各篇の配置、中国文学・日本古典との関係などをたどり、『雨月物語』がなぜ二百年以上を経た現在まで読み継がれているのかを考えます。

【本書の特色】

・『雨月物語』全九篇を新たに現代語訳
・原文の情景と怪異の余韻を重視した訳文
・作品全体を読み解くオリジナル読後解説を収録
・安永五年(一七七六)刊本を基準として編集

【構成】

凡例

雨月物語

序

巻之一
白峯
菊花の約

巻之二
浅茅が宿
夢応の鯉魚

巻之三
仏法僧
吉備津の釜

巻之四
蛇性の婬

巻之五
青頭巾
貧福論

読後解説
『雨月物語』――怪異の底に残るもの

上田秋成と『雨月物語』
九篇を動かしているもの
怪異の配置と九篇の流れ
中国の物語を日本の文学へ変える
読み終えたあとに残るもの

主要参考文献

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