国体論及び純正社会主義: 現代語訳版・解説つき

刊行五日で発禁。北一輝、二十三歳の国家論。
国家と個人、天皇と革命を同じ思想体系の中で論じた異端の大著。
『日本改造法案大綱』で知られる北一輝が、明治三十九年(一九〇六年)、二十三歳で世に問うた最初の大著『国体論及び純正社会主義』。
北は自ら社会民主主義の立場に立ちながら、当時の社会主義運動にも独自の批判を向けた。日露戦争を是認する一方、日本で強大な権威を持っていた国体論へ正面から挑み、国家と天皇を歴史の変化の中で捉え直している。その判断を支えたのは、党派や世論より自らの学理を優先する徹底した思想的独立であった。
本書の議論は経済問題から始まる。第一篇で近代社会の経済秩序を問い、第二篇では犯罪と道徳を社会の構造から考察する。第三篇に入ると生物進化論を社会哲学へ広げ、人口や男女関係、人間そのものの将来へ論を進める。第四篇では日本史と国体論を本格的に取り上げ、明治維新と天皇の政治的位置を独自の歴史観から論じた。第五篇では社会主義の政治的実践へ戻り、最後には孟子の思想を東洋における社会主義的国家論の源流として読み直している。
二十三歳の北が経済学だけに社会主義を閉じ込めず、倫理学、生物学、歴史学、法理学、政治学を一つの社会観へまとめようとした大規模な試みである。後年の国家改造論を読む際にも、その思想の原型が随所に現れる。
本版では明治三十九年初版を基準として全文を現代語訳した。
原文の論理順序と重要術語を尊重しながら、現代の読者が通読できる文章へ整えている。また、北一輝の生涯と思想、本書の成立と内容を解説し、長大な論証を追いやすくするため編集部による小見出しを付した。
【構成】
解説
北一輝の生涯
北一輝の思想像
『国体論及び純正社会主義』について
凡例
国体論及び純正社会主義
緒言
第一篇 社会主義の経済的正義
第一章
第二章
第三章
第二篇 社会主義の倫理的理想
第四章
第三篇 生物進化論と社会哲学
第五章
第六章
第七章
第八章
第四篇 いわゆる国体論の復古的革命主義
第九章
第十章
第十一章
第十二章
第十三章
第十四章
第五篇 社会主義の啓蒙運動
第十五章
第十六章
主要参考文献
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