春秋左氏伝: 現代語訳版・解説つき

左丘明 (著), 蜜蜂書房編集部 (翻訳) 

覇者の戦争、使者の弁舌、卿大夫の政争――『史記』へ連なる二百五十年の中国史を、全篇現代語訳で読む。

『春秋左氏伝』は、魯の年代記『春秋』の「経」と、同じ時代の事件を豊かな叙事で伝える『左氏伝』の「伝」を年次ごとに組み合わせた中国古典である。

物語は魯の隠公元年、紀元前七二二年から始まり、哀公二十七年、紀元前四六八年頃まで続く。斉桓公と晋文公による覇業、晋と楚の長い抗争、諸侯の会盟、鄭の子産らによる外交、魯の三桓をはじめとする卿大夫の台頭、春秋末期の呉越の興亡が、一年ごとの事件を積み重ねながら展開してゆく。

『左氏伝』の魅力は、人間が歴史を動かす瞬間を克明に伝えるところにある。君主と臣下が国策を論じ、使者が言葉によって危機を切り抜け、将が敵情を読み、氏族が数世代をかけて勢力を伸ばしてゆく。
戦争の結果は、その前に交わされた議論や判断と結びつき、数十年前の出来事が後の政変や国家の盛衰へつながっていく。二百五十年という長い時間を通読することで、春秋時代の政治世界が一つの巨大な歴史として姿を現す。

本書は『春秋』の経と『左氏伝』の伝を全篇現代語訳した。経の簡潔な記録調、伝の豊かな歴史叙事、人物の発言、外交辞令、戦争記事、思想上重要な言葉をそれぞれの性格に応じて訳し、全篇を通読できる日本語に整えている。

巻頭には詳細な解説を収録した。『春秋』と『左氏伝』の関係、孔子と『春秋』をめぐる伝承、左丘明と作者問題、春秋時代の政治構造、晋と楚の競争、卿大夫と氏族の成長、子産・叔向らの政治判断、『史記』へつながる歴史叙述、三伝と左氏学の展開までを整理している。

古代中国史を体系的に読みたい人、中国古典を現代語で通読したい人、政治・外交・戦争・組織・人物判断の実例を歴史から読み取りたい人に向けた一冊である。

【構成】

解説
第一部『春秋左氏伝』とは何か
第二部『左氏伝』が記した春秋世界
第三部 史書としての『左氏伝』とその後

凡例

春秋左氏伝
伝・開篇
隠公 元年~十一年
桓公 元年~十八年
荘公 元年~三十二年
閔公 元年~二年
僖公 元年~三十三年
文公 元年~十八年
宣公 元年~十八年
成公 元年~十八年
襄公 元年~三十一年
昭公 元年~三十二年
定公 元年~十五年
哀公 元年~二十七年

主要参考文献

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