中朝事実: 現代語訳版・解説つき

なぜ山鹿素行は、日本を「中国」と呼んだのか。
中国古典を学び尽くした儒者が、その学問の果てに見いだした「日本という文明」。
江戸初期を代表する儒者・兵学者、山鹿素行。朱子学から古学へと転じ、武士の生き方を「士道」として説いた彼が、赤穂配流中に日本の歴史と文明を根本から問い直して著したのが『中朝事実』である。
素行は、中国王朝の経典と聖賢ばかりを慕ってきた自らの学問を省み、改めて日本の歴史へと眼を向けた。そして神代から続く皇統を軸として、神器、神教、政治、礼、武徳、祭祀などを古典の記事から読み解き、日本が外来文明の周辺に位置する国ではなく、自ら固有の秩序と文明を備えた「中国」「中華」であると論じてゆく。現代の国名としての「中国」とは異なるこの大胆な用法に、素行独自の日本文明論が最も鮮明に表れている。
本書では、『中朝事実』自序から上巻・下巻十三章、跋文、附録「或疑」全十三問、長嶋元長識語までを収録し、原文の論旨と格調を保ちながら、今日の読者が通読できる現代日本語に改めた。完成稿でも本文十三章に加え、附録と識語まで収録している。
さらに巻頭には詳細な解説を収録。「山鹿素行の生涯」ではその学問形成から赤穂配流までをたどり、「山鹿素行の思想」では古学・儒教のみならず、神道、兵学、武士道・士道までを取り上げる。第三部「『中朝事実』について」では、本書の成立事情、全体の構造、思想史上の意義を解説した。
武士道思想の形成、日本儒学、日本の神道と皇統、そして近世における自国認識を考えるうえで避けて通れない、山鹿素行の代表的著作を現代語で読む一冊である。
【構成】
概説
第一部 山鹿素行の生涯
第二部 山鹿素行の思想
第三部 『中朝事実』について
凡例
中朝事実自序
上巻
天先章
中國章
皇統章
神器章
神教章
神治章
神知章
下巻
聖政章
禮儀章
賞罰章
武德章
祭祀章
化功章
跋文
附録「或疑」全十三問
長嶋元長識語
主要参考文献
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