戦国策: 現代語訳版・解説つき

劉向 (著), 蜜蜂書房編集部 (翻訳) 

言葉が国や歴史を動かした。

蘇秦・張儀ら縦横家による戦国外交と策謀の古典を全篇現代語訳。

『戦国策』は、中国の戦国時代に諸国で繰り広げられた外交交渉、政争、遊説を伝える古典である。

秦が勢力を拡大し、斉・楚・趙・魏・韓・燕などの諸国が生存をかけて争った時代。
その政治のただ中を、自らの知略と弁舌を武器として渡り歩いた者たちがいた。諸侯を説き、同盟を結ばせ、敵国の連携を崩し、ときには一度の遊説によって戦争そのものの行方を変えた「説客」「遊士」と呼ばれる人々である。

なかでも蘇秦と張儀は、戦国外交を象徴する存在として知られる。蘇秦は諸国を結んで秦に対抗する「合従」を説き、張儀は各国と秦を個別に結ぶ「連衡」を進める。王の欲望を読み、恐怖を見抜き、目前の利益と将来の危険を示しながら相手の判断を変えてゆく彼らの弁論は、『戦国策』最大の魅力の一つとなっている。

本書には、「漁夫の利」「狐が虎の威を借る」「蛇足」をはじめ、現在まで故事成語として残る多くの逸話も収められている。それらはもともと単なる教訓話として語られたものではなく、王や将軍を説得し、具体的な政治判断を動かすために用いられた言葉であった。物語によって複雑な国際関係を一つの場面へ置き換え、聞き手自身に結論を悟らせる説客たちの技術を、その本来の文脈で読むことができる。

本書では、この全三十三巻・四百九十七篇を一冊に収録し、本文の論旨と人物関係を保ちながら、今日の読者が通読できる現代日本語へ訳した。 本文に異同や欠文・錯簡の疑いがある重要箇所には編集注を付し、巻をまたいで同文・類話が現れる場合にも必要に応じて相互参照を示している。

さらに巻頭には、『戦国策』そのものの成立、戦国時代における遊説家の位置、蘇秦と張儀の合従連衡、説得術と権謀術数、劉向による編纂、そして現代から本書を読む意味までを扱った解説を収録した。

戦国二百余年の外交と策謀、そのただ中で人間を動かした言葉の力を、全篇を通して読むための一冊である。

【構成】

解説

第一部 戦国時代と言葉の力
『戦国策』とは何か
戦国時代と遊説家

第二部 権力を動かす言葉
蘇秦・張儀と合従連衡
『戦国策』に描かれる政治と人間
説得術・権謀術数・寓話

第三部 『戦国策』という書物
劉向による編纂と現行三十三巻
現代的意義

凡例

『戦国策』
全三十三巻・四百九十七篇

主要参考文献

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