洗心洞箚記: 現代語訳版・解説つき

日本陽明学、その実践思想の精華
現代語訳と三部構成の解説で読む、大塩平八郎の思想と実践。


天保八年(一八三七年)、大坂で兵を挙げた大塩平八郎。その行動の背後には、長年にわたって磨き上げられた儒学思想があった。

『洗心洞箚記』は、大塩が洗心洞での講学と読書を重ねるなかで、自らの学問を記した代表的著作である。王陽明の「良知」を聖学の核心に置きながら、孔子・孟子、程子、朱子、陸象山、張載、明清の諸儒を広く読み、心の修養から読書、教育、政治、軍事、人物論までを論じている。

大塩が求めたのは、書物の知識だけを積み重ねる学問ではなかった。良知を日々の応接や読書、講武、政治へ実際に働かせ、知った道理を自らの行動として実現することを求める。そのため本書には、一般に「大塩の乱」の人物として知られる大塩平八郎が、何を学び、何を信じ、どのような基準で人と政治を見ていたのかが鮮明に残されている。

本版では、巻上百八十條・巻下百三十八正文単位を、原文の論理順序、因果関係、対句、列挙、断定の強さを保ちながら、通読しやすい現代語へ改めた。さらに、大塩平八郎の生涯、思想的背景、『洗心洞箚記』の成立と意義を解説し、江戸後期の陽明学と経世思想の中に本書を位置づけている。

【構成】

解説

第一部 大塩平八郎の生涯
 大坂町奉行所の与力として
 洗心洞での講学
 天保飢饉と救民
 大塩の乱と最期

第二部 大塩平八郎の思想
 朱子学と陽明学のあいだで
 心を現実へ開く学問
 学問を政治と行動へ及ぼす

第三部 『洗心洞箚記』について
 洗心洞の講学から生まれた箚記
 断章を重ねる構成と大塩の読書
 刊行後の伝承と大塩思想を読む位置

凡例

洗心洞箚記
 巻之上 百八十條
 巻之下 百三十八正文単位

主要参考文献

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